日帰り婦人科小手術
子宮頸部蒸散術について
当院では、ハイリスク型のHPV陽性や長期間続いているCIN2(中等度異形成)の方を対象に、CO₂レーザーによる子宮頸部蒸散術を行っています。
この治療は、メスで切るのではなく、レーザーで子宮頸部の表面(上皮)をやきとばす方法です。体への負担が少なく、子宮の形を大きく変えないため、将来の妊娠・出産を希望される方にも適しています。
ただし、子宮の奥(頸管内)に病変がある場合には適さないことがあります。また、円錐切除術と比べると、再発のリスクがやや高く(約10%程度)なることがあるため、治療方針は慎重に判断する必要があります。
コンジローマ焼灼術について
コンジローマは、HPVウイルスの感染によって、腟・外陰部・肛門まわりなどにできるイボの一種です。鶏のとさかのような見た目が特徴で、多くの場合はベセルナクリームという塗り薬で治療を行います。
ただし、イボが大きかったり、治りにくかったり、腟の中に病変があるようなケースでは、外科的な治療(焼灼術)をおすすめしています。
当院では、CO₂レーザーを使った焼灼治療を行っており、
- 痛みが少ない
- 傷の治りが早い
- 傷あとがきれいになりやすい
といったメリットがあります。
初診ではまず視診を行い、婦人科検査をまだ受けていない方には必要な検査を行ったうえで、必要があればベセルナクリームを処方し、治療のスケジュールを相談します。
手術は局所麻酔での日帰り治療です。比較的、コンジローマ治療の経験が豊富なので、さまざまな症例に対応していますが、静脈麻酔などが必要な場合は総合病院をご紹介することもあります。
バルトリン腺のう胞(膿瘍)の切開治療について
バルトリン腺は、腟の入り口の左右(だいたい5時と7時の位置)にある分泌腺で、腟内を潤す役割があります。ここの出口が何らかの原因で詰まってしまうと、ピンポン玉くらいのしこりができることがあり、さらに感染を起こすと強い痛みや腫れ、熱感を伴う「膿瘍」となります。
軽い場合は抗生剤の内服で改善することもありますが、症状が続く・強くなるような場合には、レーザーで腫れている部分を切開して膿を出す処置を行うと、症状がスッと楽になります。痛みが強いときは、その日のうちに処置を行うことも可能ですので、我慢せずにご相談ください。
頸管ポリープ切除術について
子宮頸管ポリープは、子宮の入り口にあたる「子宮頸部」の粘膜が局所的に増殖することでできる良性の腫瘍です。多くの場合は症状がありませんが、不正出血の原因となることもあります。
治療は、頸管ポリープをねじりながら切除する方法を用いることが多く、麻酔も不要です。ただし、ポリープの根元(茎)が太い場合には、出血のリスクを考慮して、電気メスで切除する場合や、総合病院への紹介となることがあります(このようなケースは稀です)。
子宮内膜ポリープ切除術について
子宮内膜ポリープは、子宮の内側を覆う子宮内膜が局所的に増殖することでできる良性の腫瘍です。主な症状としては、不正出血や不妊、過多月経などが挙げられます。
手術の適応となるのは、以下のような場合です:
- 子宮体がんのリスクが高い症例
- 多発性ポリープ
- ポリープのサイズが大きい
- 不妊の原因が疑われる場合
- 出血量が多い(過多月経)
当院では、静脈からの鎮静剤投与と局所麻酔を併用し、手動吸引による日帰り手術で対応しています。
なお、ポリープの大きさや硬さによっては、取り切れずに一部が残ってしまうことがあります。こうした残存の頻度は約10%程度とされています。